Q5-3:「面談の段階的問い」について教えて?
A5-3:以下のように面談の段階を追ってまとめてみました。
キャリアコンサルタント面接試験「面談の序盤はCLと関係性を深める」
キャリアコンサルタント実技試験はJCDA?それともキャリ協を受けられますか?
共に大事なことは面談の序盤は関係性を深めることですね。
では少しロープレをやってみましょう。
CL1「先日上司から主任の昇進の打診があり、お受けしようかどうしょうか迷っていて相談にまいりました」
皆さんはどのような受け止めをされますか?
①CC1「主任昇進の打診があったのですね。おめでとうございます!」
②CC1 「主任昇進の打診があったのですね、何が評価されたのですか?」
③CC1「主任昇進の打診があったのに迷っていらっしゃるのですね。キャリアアップはしたくないのですか?」
④CC1「どんなことを迷ってらっしゃるのですか?」
《解説》
①はCLにとってはおめでたいことでもないかも知れませんので、CCの主観で言ってはいけません。
②は来談目的「受けようかどうしようか迷っている」に添っていないのでこのタイミングではありません。
③はCCの意見を言うべきではありません。
④は一番まともな問いのようですが、序盤の「受け止め」がありません。
面談の序盤にCLと関係性を深めるには、「受け止め」て、来談目的に添って「問う」ことが大事です。
《解答》丁寧に、ゆっくりと温かく尊敬心を持って受け止めて、問いましょう。
CC1「玉里さんは先日上司の方から主任へ昇進の打診があったのですね。でも受けようかどうしようか迷っていらっしゃる?(間)どのようなことを迷っていらっしゃるのですか?」
キャリアコンサルタント面接試験「面談の序盤から中盤はCLの主訴を確認する」
さて、今回は面談の序盤から中盤は何をするか、前回の続きをロープレでやってみましょう。
CL1「先日上司から主任の昇進の打診があり、お受けしようかどうしょうか迷っていて相談にまいりました」
CC1「玉里さんは先日上司の方から主任へ昇進の打診があったのですね。でも受けようかどうしようか迷っていらっしゃる?(間)どのようなことを迷っていらっしゃるのですか?」
まず、来談目的の「受けようか迷っている」に添って面談を進めましょう。
CL2「私は今IT企業でSEをしています。主任になると部下が付き、今以上残業も増えるし、責任も重くなるし、ストレスも大きくなるのではと思っています」
皆さんはこの次どう展開されますか?
①CC2「SEって、大変なんでしょ?」
②CC2「主任になると良いことはありませんか?」
③CC2「上司に相談されたのですか?」
④CC2「部下が付くといやなんですか?」
⑤CC2「主任になるとどれくらい残業が増えるのですか?」
⦅解説⦆
①はCCの興味で聞いていて、CCの意図が感じられませんね。
②はCLの思いも聴かず、CCの価値観を押し付けています。CCとして資質を疑います。
③はCLの思いも聴かず、この段階では早いですね。CCの責任を放棄しています。
④はCLの思いも聴かず、CCの思いを先に言っています。CCとして資質を疑います。
⑤はまともな問いのようですが、「受け止め」がありません。
《解答》主訴を受け止めて、問いましょう。
「では、玉里さんは主任になると部下が付き、今以上残業も増えるし、責任も重くなるし、ストレスも大きくなるのではと思って、それで受けるのを迷っていらっしゃるのですね。一番気になることはどんなことでしょうか?」
キャリアコンサルタント面接試験「面談の中盤は自己探索の支援」
さて、今回は面談の中盤から何をするか、前回の続きをロープレでやってみましょう。
CC「では、玉里さんは主任になると部下が付き、今以上残業も増えるし、責任も重くなるし、ストレスも大きくなるのではと思って、それで受けるのを迷っていらっしゃるのですね。
一番気になることはどんなことでしょうか?」
CL1「一番は残業が多く常態化していて、これ以上は無理って感じなんです」
CC1「残業が多く常態化していてこれ以上無理・・・・。どれくらい残業されているのですか?」
CL2「平均すると月に50時間位です」
CC2「月に50時間位・・・んー、結構多いですね。(そうなんです)どうして残業が多いのですか?」
CL3「それはSEになるとお客様と仕様の打ち合わせが頻繁にあり、15時に来てくれと言われると会社に戻るのが18時になり、そこから打ち合わせの内容をまとめたり、明日の準備をしたりで退社が20時、21時になるんですね。」
CC3「お客様との打ち合わせに時間をとられる感じでしょうか?」
CL4「そうなんです。私はお客様から15時に来てくれといわれたり、仕様変更があっても『はい、わかりました』といって、断れないんです。それでお客に引っ張られるんです・・・」
皆さんはここで自己探索の支援をどのようにされますか?
①CC4「どうして断れないのですか?」
②CC4「お客に引っ張られるのはどうしてなんでしょうか?」
③CC4「断ったらどうなりますか?」
④CC4「断れないあなたはどう見えますか?」
⑤CC4「お客はあなたをどう思っていますか?」
CLはどうこたえるか考えて見ましょう。そしてCCの反応も見てみましょう。
①CL5「そうですねー、性格なんでしょうねー」
CC5「そうですか・・・・・」
②CL5「そうですねー、人が良いのかも知れませんねー」
CC5「そうですか・・・・・」
③CL5「そんなこと、言えません!」
CC5「そうですか・・・・・」
④CL5「どう見えますかって?わかりません!」
CC5「そうですか・・・・・」
⑤CL5「そうですね・・・扱いやすい人、・・・何でも聞いてくれる人・・・ではないでしょうか」
CC5「それって、玉里さんの良いところでもあり、時には自分を犠牲にしていませんか?」
⦅解説⦆
①②③は深く考えるところまで行っていませんね。
④はJCDAの論述試験によく出てきますが、もっと関係性が強まったところでは有効ですがこのタイミングではないですね。
⑤はどのタイミングでも比較的答えやすいし、自己探索のCCの意図「気づきを促す」のに有効だと思います。
CL5「そうですね・・・扱いやすい人、・・・何でも聞いてくれる人・・・ではないでしょうか」CC5「それって、玉里さんの良いところでもあり、時には自分を犠牲にしていませんか?」
キャリアコンサルタント面接試験「面談の終盤は合意と提案(方向性)」
(前回)
CL5「そうですね・・・扱いやすい人、・・・何でも聞いてくれる人・・・ではないでしょうか」
CC5「それって、玉里さんの良いところでもあり、時には自分を犠牲にしていませんか?」
CL「そうだと思います。お客から言われると何とかしたいと、結果的に残業が増えるのだと思います。私はもともと人を補佐するような事務職が向いており、SEのようなぐいぐい引っ張るタイプではないと思います。」
皆さんはここで合意と提案の支援をどのようにされますか?
①CC「SEには向いていないのですね。では、この際思い切って転職されたらいかがでしょうか?」
②CC「人を補佐する仕事が向いているのですね。では、上司に事務職の転属願いを出されたらいかがでしょうか?」
③CC「SEタイプではないので残業が増えるのですね。では、昔のPGに戻ったらいかがでしょうか?」
④CC「玉里さんは人を補佐するような仕事が向いていると思っていらっしゃるのですね。例えば、今の立場で補佐するような仕事は考えられませんか?」
CLがどう答えるか見てみましょう。
①CL「はあー・・・、考えておきます」
→×それができるなら相談にきませんね。
②CL「はあー・・・、それができればいいのですが・・・・」
→×上司に主任の打診の返事が先ですね。
③CL「はあー・・・、PGに戻る・・・年齢的には厳しい気がします・・・」
→×否定的な返事ですね。
④CL「今の立場で補佐する仕事ですね。・・・・プロジェクトマネジャーの下で補佐をする仕事・・・PGを育成するようなインストラクターの仕事があるかも知れません!」
→〇CLが前向きな返事にかわりましたね。これで方向性が少し見えてきましたね。
(まとめ)
CL「そうだと思います。お客から言われると何とかしたいと、結果的に残業が増えるのだと思います。私はもともと人を補佐するような事務職が向いており、SEのようなぐいぐい引っ張るタイプではないと思います。」
CC「玉里さんは人を補佐するような仕事が向いていると思っていらっしゃるのですね。例えば、今の立場で補佐するような仕事は考えられませんか?」
CL「今の立場で補佐する仕事ですね。・・・・プロジェクトマネジャーの下で補佐をする仕事・・・PGを育成するようなインストラクターの仕事があるかも知れません!」
いずれにしても上司に主任になることに返事をするにあたって、主任の仕事の内容や立場をしっかり把握し、自分の思いを相談できるように前向きな行動が取れるよう支援をすることですね。
キャリアコンサルタント面接試験の15分の面談ではここまで行かないことが多いとは思いますが、常にここまで行うことを意識し面談を進めてください。
行かなかったとしても口頭試問で答えなくてはなりませんので意識する必要がありますね。