Q4:はじめてのキャリアコンサルタント面接試験
Q4:それでは面接試験を初めて受ける方へ、インタビューで紹介します。
「初めての面接試験(1)受容しなさい」
私:試験ではどのように対応されますか?
Hさん:自然のままに・・・
私:自然のままにとは?例えば、やるべきことは?
Hさん:やるべきことは、感情のキーワードを落とさず聴いて、感情だけにとらわれず、最初は状況を確認しながら、感情について、プラスまた状況について進めていこうかなぁー・・・ですかね。
私:初対面であれば、この人と関係構築をする。
だから、感情もあるけど関係構築ですね。どうしたらできますか?
Hさん:まず、差し障りのないことから聴くことですかねぇー。
私:ロジャーズさんは、まず、受容しなさいと言われています。
「あるがままにCLをあたたかく受け入れて、尊敬心と思いやりを持ってCLにかかわること」
初対面のCLさんが悩みをもってカウンセラーを尋ねてきたことをイメージすることが大切です。
Hさん:試験であまりしゃべってくれないCLだったら、どうすればいいのでしょうか?
私:試験だったらではなく、普通だったらどう対応されますか?
例えば「困っているんですよ」と言われたら?
Hさん:「どんなことに困っているのですか?」と言います。
私:まず受け止める。
「困っていらっしゃるんですね?」「もう少し詳しく教えていただけますか?」
CL中心療法でしょ?まずCLに寄り添い関係構築をしてください。
「初めての面接試験(2)一致(純粋)しなさい」
私:本番は試験だと思わないでその人を理解したい気持ちで聴くといいですよ。
Hさん:言っちゃいけないところで言ったり、逆に何かあるのか怖がらなく、そこにフォーカスしないで、たまたま間違って言っちゃったぐらいでいいんですか?
私:そうではありません。ロジャーズさんは「一致(純粋)しなさい」と言っています。
「私はあなたと一致したいのです」そんな思いがあれば、どんな質問でもいいんですよ。
Hさん:・・・・そっかー。
私:例えば、苦し紛れに「その仕事について、ご主人はどう思われていますか?」CL中心療法ではないことは言ってはいけません。その考え方は確かにあります。
Hさん:困って聴くことがなくなったらどうすれば、いいんでしょうか?
私:例えば、これまで話したことを要約し、振り返る。
CLとCCが互いに整理し確認することで「一致(純粋)」ができます。
「初めての面接試験(3)その人になりなさい」
私:何か困ったことがありましたか?
Hさん:昨日あまり話さないCL役とロープレ練習をやってみたんです。
「ただ、会社に行きたくないんです」とか、あまりしゃべってくれない感じで、
「15年位単調な仕事でつまらないんです・・・結婚もできないと思うし・・・」
とか言葉が出たので、それで聴くことがなくなり結婚にフォーカスして、
触れてはいけないと思いながら「結婚できないんですね・・・」と言ってしまいました。
私:今CL言った中で、意味はわかりますか?何かクエスチョンがいっぱい浮かびませんか?
Hさん:んー・・・どういう仕事をしているか聴いたら「事務」と言われました・・・
私:それでCLはおいくつですか?(むー・・・40歳くらい)独身ですか?(はい)経済的には?(聴いていません)1人の人間として立体像を描かないといけません。
「仕事がつまらない」「行きたくない」とは人間関係かな?共感的理解ですよ。
Hさん:聴いていません。
私:「行きたくないんですね?行きたくないのはどうしてですか?」
Hさん:「わからないんです」
私:「わからないんですね。今、どんなお仕事をされているのですか?」
私:CLのわからない思いは大事にしてもう少し後で聴く。
そして、上司、部下とCLの立場、いつ頃からそう思うのか時期やそう思う出来事がなかったかを聴くのもいいですね。
Hさん:んーん
私:分りたいと思うとその人になる。それが一致(純粋)です。
Hさん:その人になる?・・・・
私:その人になって考える。何があったのか聴いてみる。そうするとこんなことがあったと気づかれる。
心の結び目が解けて、理解していくのだと思います。
Hさん:そっかー
「初めての面接試験(4)カウンセリングする」
私:Hさんは今度初めての試験ですね。
Hさん:はい
私:試験と思わないで、「そこでカウンセリングする」そんな気持ちがいいですね。
「コレ言っちゃーダメ」「アレ言っちゃーダメ」ではなく、自分が「CCとしてCLにカウンセリングする。」
Hさん:あーそっかー
私:一ケ月支援した方のロープレは最後の方では自由にやっておられました。
「ちょっとわからないんですけど教えて頂けますか?」とそんな言葉を聞いて「すごいなー、本物になった。」と思いました。
Hさん:へー
私:本番に向けて、言えることは「ほんとうに困っておられるCLがそこに来ておられる。」
ロープレ中は面接官は眼中になく、「良い格好しよう」の気持ちもない。
Hさん:そうなんですか。
私:「CLの話をしっかり聴こう」そんな態度が良いと思いますよ。
Hさん:はい。
私:ロープレがうまく行ったとしても口頭試問で突っ込まれた時に堂々と答えられないといけません。
例えば試験官に「どうしてその質問をされたのですか?」の問いに「はい、そこにCLの自己概念があると思って聴いてみました」と堂々と答えると良いです。
「初めての面接試験(5)自己概念について」
Hさん:今出た自己概念は捉え方として「価値観」でいいですか?
私:それもありますね。例えば「悩む」というのは、自己概念が経験を受け入れられない状態です。
Hさん:拘りみたいなもの・・・
私:そうです。左に自己概念、右に経験(下図)があります。
私:例えば、CLが「最近、会社がつまらなくて・・・」と言います。
CCは「会社がつまらない?何かあったのですか?」と問います。
CLは「それが、もやもやしてよくわからないんです」と言い、本人もまだ見えていません。
私:その時の状態が上図の「自己概念」と「経験」が離れている「自己不一致」の状態です。
私:CCは「今どんなお仕事に就かれているのですか?」と問います。
しばらくCCがCLに仕事内容「事務職」や立場「5年目、部下2人」など状況を聴きます。
再びCCが「いつ頃からそう思うのですか?」と問います。
CLは「5月くらいですかね・・・・・」と言い、CCが「何かあったのですか?」と問います。
「5月に新しい上司に替わったんです。前の上司は私に任せて頂けてたんですが、今の上司は私のやることなすこと細かくチェックし、指示ばかりで任せてくれないんです」と経験の再現が回ってきます。
私:この段階ではまだCLの「自己概念」は見えてこないのですが、例えば『強い自負心』とします。
私:CLの自己概念がじゃまをして「自分を認めてもらえていない上司のやり方に不満」が主訴です。
私:やがて、CCがCLに「あなたの上司はどうして任せてくれないんでしょうか?」と問います。
「・・・そう言えば、月末月初では結構残業してましたが、上司が来てから残業も無くなって部下は喜んでいます。
・・・そうですね、私のやり方に改善の余地があったのかも知れません。・・・もう一度見直してみます。」
私:少し端折りましたが、カウンセリングによってCLに気づきがあり、上図の「自己概念」と「経験」が重なった状態です。
自問自答(自己探索の支援)を促し、経験を語ってもらい、自分に気づく。
私:Hさん、いかがですか?
Hさん:ふーん、そっかー
私:長くなりましたね。
CLとは初対面です、CLはCCだから話しをしようと思って来ているんです。
スタートラインの「受容」は忘れないでください。
この辺で終わりたいと思います。頑張ってください。
Hさん:わかりました。ありがとうございました。
いかがですか?