Q3-1:ロジャーズの来談者中心療法について
A3ー1:お答えします。
これまでのまとめとして、「ロジャーズの来談者中心療法」をご紹介します。
1.ロジャーズは、来談者の生来的な適応、成長能力を信頼し、来談者の持つ自己実現傾向を信頼することを強調した。そして、カウンセリングを来談者主導のもとに進めていくことを主眼とし、来談者中心的カウンセリングとした。
2.相談者とカウンセラーの間に温かで受容的な雰囲気を醸し出すことで、相談者はそれまで意識することを否定してきた内面の危険な領域にも一歩一歩踏み入れ、あるがままの自分を受け入れ、新しい目標を選び、より大きな心理的成長と成熟へ向かうことができる。
3.クライエントの人生においてはクライエントこそが主人公であり、カウンセラーの「クライエント中心」の態度によって、クライエントは本来の力を十分に発揮し問題を解決していく。したがって、問題は何か、どう解決したらいいのかについて、最もよく知っているのはクライエント自身であるので、カウンセラーはクライエントに何かを教える必要はないというのが来談者中心療法の考え方である。
4.ロジャーズは「治療的人格変化の必要性にして十分な条件」として、以下の6つの条件を挙げている。
①2人が心理的接触をもっていること。
②クライエントは、不一致の状態にあり、傷つきやすい、あるいは不安な状態にあること。
③セラピスト(以下カウンセラーとします)は、この関係に中で一致しており統合されていること。
④カウンセラーは、クライエントに対して、無条件の肯定的な配慮を経験していること。
⑤カウンセラーは、クライエントの内的照合枠(※)に共感的理解を経験しており、そしてこの経験をクライエントに伝達するように努めていること。
⑥カウンセラーの共感的理解と無条件の肯定的配慮が、最低限クライエントに伝わっていること。
5.カウンセラーは自己一致していて純粋であるとともに、来談者に無条件の肯定的配慮を示し、無条件に受容することによって、来談者自身が自分を尊重できるようにする。(③④)
6.カウンセラーは、共感(感情移入的理解)を示し、来談者の内的照合枠(※)を「まるで」自分の世界のように感じ取り、正しく理解し、その理解を伝達する。(⑤)
※感覚・知覚・意味・記憶を含め、体験領域にある全てのもので、いつでもその人の気づきにのぼらせることができるもの
1級キャリアコンサルティング技能検定学科問題解説集キャリアコンサルティング協議会より
いかがでしょうか?
簡単にまとめると「来談者中心療法は来談者の自己実現傾向を信頼し『自己一致』するカウンセリングを行うこと」ではないでしょうか。
「一致」(自分自身の深い受容と共感) = 「受容」 + 「共感的理解」(相手)