Q3ー9:2級技能士面接試験 クライアントにどう深く自己一致するか?

2023年12月09日 08:28

A3ー9:お答えします。

第32回の面接試験のケースを振り返り、どう深く自己一致されていましたか?

例えば、鈴木さんのケースを一緒に考えてみましょう!

来談目的の「今後どのように考えればよいのかわからないため相談したい。」は最後まで忘れず、これを道しるべにしてください。

1.大きな問題から捉え関わる。「先日夫から『早期退職制度を利用して実家に帰ろうかと思うので、一緒についてきて欲しい』と言われた。」
 (夫のことが無かったら平穏に過ごされていたでしょうね!)

◎目の前のCLを前にして、リアル感を持って、思いやりを持ってやさしく、自己一致の姿勢で関わり(問いかけ)ます。

・自己一致の姿勢
夫からそう言われCLはどう思ったか?:感情を捉え、深める。
夫はなぜ実家に戻りたいのか?:事実関係を捉え、CLが夫の気持ちをどこまで理解しているか深める。
夫に「ついてきてくれ」と言われどう思ったか?:CLの気持ちを捉え、深める。

・「今ここ」のリアル感
先日とはいつ夫から話があったか?:その後現在までの話した状況・進み具合はどうなのか?
夫の実家とはどこか? 夫は実家にいつ帰るつもりなのか? 夫は実家に帰って何をどうしたいのか?

2.次のCLの問題は「現在は念願の教員として働いているので辞める決断もできないし、夫の郷里で新しい生活をすることにも不安がある。」

・自己一致姿勢
念願の教員とは? 教員生活をどう思っているのか? 辞める決断もできないとは? 新しい生活とは? どんな不安か?

・リアル感
念願とはいつから教員になりたいと思っていたか? 夫の郷里で新しい生活をするのはいつか?

3.最後の問題は「夫の実家にはいずれ戻る可能性も考えていたが、まだ先のことだと思っていた。」

・自己一致の姿勢
夫の実家にはいずれ戻る可能性とは?

・リアル感
可能性を考えていたのはいつのことか? まだ先とはどれくらい先か?

以上ですが面談を進める中で、かなりの部分で自己一致が進んで行き、問題が絞られると思います。

アンビバレンス

現実味を帯びてきて、早期定年退職を考えている夫のあり様(混乱)に戸惑うCLが見えてきましたね。

例えばCLに以下のような矛盾が見えてきたとしたら、ここからあなたはどう関わるか。
・教員を続けたい ≠ 辞める決断もできない
・今のところで生活したい ≠  夫の郷里で新しい生活
・夫の実家にはいずれ戻る可能性 ≠ まだ先のこと

これを「アンビバレンス※」と呼びます。
※同じ対象に対して相反する感情や態度、思考などを同時にまたは交互に抱いたりすること。

答えは常にクライアントの中にありますね。
このアンビバレンスにフォーカスし、引き出す(CLの考えや感情を活用)。

来談目的の「今後どうのように考えれば良いかわからない」の答え(方向性が近い!)がCLに浮かび、同時にCCにも見える。(これこそが自己一致です。)

私たちキャリアコンサルタントはクライアントに気づくように関わることで、クライアントが冷静になって考えられるようになる(意識変容)と思います。

是非、ロールプレイで身につけ面接試験の中でこのような関わりができるようになって頂きたいと思っています。

先日、広島白島塾の仲間の勉強会で「自己一致」は浅いところからさらに深められる力が技能士には求められていることが分かりました。

これからも一緒に頑張りましょう!