Q3ー5:面接試験キャリアカウンセリングの進め方とは?
A3-5:技能士2級と国キャリの面接試験の進め方と違いをお答えします。
Step1.キャリアカウンセリング序盤の関わり方
1.目の前のCLは何に困って何を目的にあなたに相談したいのか掴みましょう。
CC「こんにちは、キャリアコンサルタントのXXです。今日はどのようなご相談でみえられましたか?」
私は優しく、ゆっくりと包み込むような言葉で語りかけます。
この時、ざわざわした心を静め面接試験を意識することなく、CLを受け入れる真白な空間を心に作ります。
2.CLが来談目的を語り始めますので、CCはアイコンタクトでCL顔の表情に合わせます。
CL「私は・・・・・・・で相談に来ました」
私はCLがしゃべりやすいように「えーえー」等とCLの言葉に絡めるように優しく相槌で応えます。
3.CLの来談目的は決して忘れないこと。特に感情や転機に関する事柄、CLに深く関わることが重要です。
私は真っ白い空間にCLの言葉を自己一致の姿勢でCL像をイメージし、それをCLに伝え一つ一つ確認します。
4.序盤はCLの問題を解決しようと思うのではなく、CLと共に思いを深め、CLと共に考え寄り添います。
私の関わり方は「今ここ」の気持ちで、リアル感を持ってラセン的に像を描いて行きます。
・CLが問題をどう思っているのか。
・CLがどうしたいと思っているのか。
・CLは何が分からないのか
・いつのことなのか、猶予期間はどれくらいあるのか(すぐなのか、3ヶ月後か、近い将来なのか等)
以上が序盤の関り方ですが、このスタートを切れることが最も大切です。
Step2.キャリアカウンセリング中盤の関わり方
5.関係構築の継続。
私がCL役になって困るのは、誰にも相談できなくて来ているのにCCから「相談されましたか?」と問わ
れ、次に「なぜですか?」とたたみ込まれると一気に心が萎え、関係が離れて行きます。
なぜCLは(上司、妻等に)相談できない気持ちなのかわかってあげ、CCは自己一致の姿勢で伝えること
の方が大切です。
6.CLの問題を深め、CCはそれを理解する姿勢。
私はここでもロジャーズの来談中心療法の「自己一致の姿勢」が有効だと思います。
同時にCLの気付いていない問題が見え隠れします。
注意)問いかけは、単にキャリアコンサルタントが情報を得るためではなく、相談者が自身の問題を援助するために用いること。
7.CLの大切にしている事を逃さない。
自己概念(興味・価値観・能力等)やキャリアアンカーと言っても良いと思います。
コーヒーカップ理論で言えばコーヒーカップの底(中心)に何があるか、把握しましょう。
私なら来談目的にも多く語られていますので「XXXXをどのように思われますか?」と問いかけます。
・アルバイトをしているが、きちんと就職したい。
・仕事に面白みを感じている。
・趣味の料理を活かしたい。
・店長として営業所を任された。
・人事・労務の仕事に関わってきた。
ここにはCLが頑張って来られたことや成功体験がありますので称賛してあげてください。
8.ここでCLの問題を自己一致の姿勢で要約して伝えましょう。
「来談目的+α(アルファ)=主訴」
CC「あなたは...来談目的+アルファ(CLの深い問題)...で相談に来られたのですね。」と伝えましょう。
Step3.キャリアカウンセリング終盤の関わり方
9.次はCLの気付いていない問題にCLに気付きを促し、CLに気づいてもらうことです。
私はこの辺りから積極技法を使いますが、以下のことが条件です。
・関係構築が築けていること。
・CLの問題を深く理解できていること。
・ある程度CLのやりがい、自己概念(興味、能力、価値観等)、キャリアアンカーが分かっていること。
10.積極技法について
私は結構「助言、情報提供、教示」「解釈」「フィードバック」 「自己開示」等を使います。
これは後でわかったのですが『マイクロカウンセリング技法の本(福原眞智子監修)』の
「基本的傾聴技法と積極技法の連鎖」の「良い例」が参考になります。
私はCLに気づきを促すことを意識し、「情報提供」や「自己開示」(軽めの積極技法)辺りから行います。
11.次がCLの明るい方向性について一緒に考え、これが目標に繋がりますのでCLに同意を得ることです。
・CLの「なりたい姿」を一緒に考える。
・CLが「こうだったら行動できると思える」こと。
・CLが「やってみたいと思える」こと。
実際は手をかえ品をかえ、CLに同意を得ることは簡単ではなく、抵抗があることを覚悟してください。
決して「相談したらどうですか?」と方策は言いません。
もし、20分のタイムオーバーになったとしても口頭試問で目標と方策を答えてください。
12.目標の設定を行い、CLと合意に至ること。
ここまでで20分の時間に達したら、残りの方策は口頭試問で答えることになります。
序盤、中盤ができ終盤でCLに気付きが生まれて初めて可能となりますので、無理やり合意はできません。
13.方策の設定とクロージング
目の前のCLに確認しながら方策を述べましょう。
「CLが次の面談の機会までに方策を実行した成果を伺うこと」を約束して終了します。
私の実際の試験ではCLと次の面談期日までに方策を約束し、クロージングし、20分間で終了しましたが、
CLの気持ちに合わせ絶対に無理やり進めないで、最後までCLとの関係を維持してください。
14.残りの口頭試問は行ったロールプレイに捕捉しながら答えましょう。
口頭試問はとても大切ですね。挽回することができますので最後まで諦めず頑張ってください。
以上、序盤、中盤、終盤に対し、私の経験をベースにCLの関わり方を述べました。
キャリアコンサルタント国家試験とキャリアコンサルティング技能士2級の面接試験の違い
①面接試験の持ち時間が違っています。
・ロールプレイは国キャリが15分、2級が20分。
・口頭試問は国キャリが5分、2級が10分。
②2級は事前にロールプレイケース内容が5つ提供され、試験時その中の1ケースに対応します。
・CLの年齢層に幅が広く、1ケースに必ず大学生が登場します。
・ケースに「新型コロナの影響」「本業と副業」「両立支援」「男性の育児休業」「人材育成」等の問題が含まれる傾向がありますので労働問題の知識は必要です。しかし、実際の20分のロールプレイの中で解決策にはなりませんので、注意してください。
③2級は特にロールプレイの終盤の関わり方に違いがあります。
・序盤、中盤に差はほとんどありませんが、特に終盤はCLに行動変容が求められます。
・進め方の基本は同じですが、どのようなCL(年齢差、経験差、相性の違い等)に対しても関われる練度を高める必要があります。
実務に就き数年経つとカウンセリングの基本をすっかり忘れて問題解決型に変わってしまっている方が見受けられます。
2級は特別ではなく、国キャリの延長線に2級があることを忘れないでくださいね。
以上です。頑張りましょう!