Q1-9:論述試験対策のための用語集

2023年12月09日 08:51

A1-9:論述試験対策のための用語集をお答えします。

1.観察、洞察するとは

観察はあくまで「表面的な部分を注意深く見る」という行為ですが、洞察は「物事の見えていない部分まで見抜く」という行為を指します。

活用例「問2に上げた問題点について観察、洞察する」

2.現実吟味とは

現実に存在している・起こっている事柄と客観的・合理的に適合した認知を成立させることであり,現実と非現実を区別する働きである。具体的には,自分のおかれた状態,自分と他者との関係,現在とるべき行動目標などについて,現実と対応した認識,判断を行えることである。

活用例「不協和や葛藤を伴うかも知れない現実吟味に対峙できないでいる」

3.職業観とは

職業や勤労についての知識・理解及びそれらが人生で果たす意義や役割についての個々人の認識であり, 職業・ 勤労に対する見方・考え方,態度等を内容とする価値観である。

活用例「職業観や働くことに関する意識が浅く」

4.意識変容とは

人の行動が変わることです。行動するという意識や習慣が変わるには、5つの段階があります。段階に沿って適切な介入を行い、相手が自発的に行動を起こすよう促すことを「行動変容を促す」と言います。

行動ステージ1:無関心期→現状を認識させる。行動を変えたら起こるポジティブな変化を示す

行動ステージ2:関心期→課題を認識し、変化する必要性を自ら意識する。ビジョンを描く

行動ステージ3:準備期→具体的な行動のアプローチを考える(ステップを理解させ、自分にもできそうだと思わせる)

行動ステージ4:行動期→行動を褒める。変化を認める。成功体験にする

行動ステージ5:維持期→適切なフィードバックや効果測定を行い、スキルの定着を促す

5.計画的偶発性とは

個人のキャリアは偶然の出来事の積み重ねによって決定されるという前提のもと、その偶然をチャンスと捉え活かすことで、自分のキャリアを良くしていく考え方を指します。(ジョン・D・クランボルツ)

6.積極的不確実性とは

将来の不確実性をありのままに受け入れて前向きに捉えることで、新たな意思決定を行っていく考え方のこと。 (ハリィ・ジェラット)

7.自己理解不足の活用例(見立て→方策)

①苦労を乗り越えて積み上げてきた経験や強みに対する認識が弱く自己理解が不足している。

→キャリアの棚卸しを行い、これまでの成功体験をヒアリングすることで強みについて気付きを促し、自己理解を深める

②店頭販売では実績を上げてきたが、法人営業では通用せず、これまでの経験や強みの活かし方を考えることなく、うまくいかない理由を父の怪我のせいにしており、自己理解が不足している。

→店頭販売で実績を上げてきたこと、その実績が評価されて主任に昇格したことなど、これまでの成果を承認することで自己効力感を高めるとともに、自身の強みについて自己理解を促す

③熱意が先行し、一方的な主張に終始してしまい、周囲の意見を取り入れようとせずに視野が狭くなってしまう自身の傾向に気づいておらず、自己理解が不足している。

→これまでやりがいを感じたことや働く上で大切にしてきたことを聞くことでキャリア・アンカーを明確にし、自己理解を深めていただく。

④両親のことで頭が一杯で、法人営業30年の経験を積み重ねてきたキャリアやこれからのキャリア設計を考えることができなくなっており、自己理解が不足している。

→これまでの成功体験を聞き、自身の持つ強みや仕事のやりがいについて考えていただき、今後のキャリアへの活かし方など自己理解を深めていただく。

8.仕事理解不足の活用例(見立て→方策)

①営業成績を上げられないのは経営の知識が不足していると思い込み、なぜ先輩たちが堂々とお客様と渡り合えるのか、仕事の進め方や自身の役割についての認識が十分でなく仕事理解が不足している。

→上司に今の自分に期待する役割を確認するとともに活躍している先輩に仕事の進め方についてインタビューすることで自分に求められていることは何か、それを実現するために不足していることは何かを考えていくことで仕事理解を促す

②法人営業の進め方がわからないまま一人で抱え込んでおり、「後輩の指導をしている場合じゃない」の発言から主任としての役割も理解も不十分であることなど仕事理解が不足している。

→先輩や同僚で仕事をうまく進めている人にヒアリングしたり、上司に主任として期待される役割や求められる仕事の進め方について確認することで仕事理解を深める

③老舗の食品メーカーがこれまで大切にしてきた企業理念を十分理解することなく新たな改革を提案しており、現組織に対する理解が不十分で仕事理解が不足している。

→社長の言葉の真意や部長の反対の主旨を再確認することで係長として求められる役割を理解し、周囲を巻き込んだ仕事の進め方を再考いただき、仕事理解を深めていただく。

④上司の「後任の用意ができないからゆっくり考えて欲しい」の言葉から現在の組織での役割や「地元で仕事を探す手がかりが全くない」の発言からも労働市場の状況など仕事理解が不足している。

→現在の会社での役割や自分が辞めることでの会社の影響、また実家に戻った後の転職市場の情報など仕事理解を深めていただく。

9.コミュニケーション不足の活用例(見立て→対策)

①上司や同僚、家族と仕事や介護についての相談ができておらず、周囲とのコミュニケーションが不十分である。

→父の世話について家族で話し合ったり、地域包括センターに相談するなど、周囲の支援を受ける情報を収集していただく。

②部長からの反対の趣旨を受け止め、折り合いのつく再提案を検討するために、古くからおられる方々の意見を聞いてみるなどコミュニケーションが不足しており、周囲の環境への働きかけが不十分である。

→組織における改革は一人の強い思いだけで行動を起こすのではなく周知を結集して進めることが重要であることを理解いただき、環境への働き掛けについて検討していただく。

③妻や子供達の反対にしっかり向き合えておらず、家族とのコミュニケーションが不足している。

→上司や家族としっかり向き合い、最適な選択肢は何か、折り合いがつくまで後回しにしないで話し合っていただく。

10.中長期視点のキャリアプランの活用例(見立て→対策)

①「妻が働いているからしばらく収入がなくても大丈夫」と考え、妻に相談しないで海外でのMBA取得を検討するなど、中長期的なキャリアプランを夫婦で共有できていないことも問題である。

→その上で、MBA取得の意義や効果を再考していただく。現在の思いを妻に伝え中長期視点のライフキャリアプラン、マネープランを2人で考え、夫婦にとって最適な人生設計を共に描いていただく。

②父の介護について、地元の行政機関を活用するなどの情報が不足しており、周囲の支援を受けて問題解決を図るための行動が起こせていない。

→転機を乗り越えた先のキャリアプランを描いていただき、その実現に向けて4S点検で今できることを整理してみることで、一歩一歩前進するための意思決定ができるよう支援する。

③実家に戻った後の生活や仕事について「田舎は生活費が安い」とか「30年の営業経験で仕事は何とかなる」と考えており、中長期視点のライフキャリアビジョンが描けていない。

→地元での介護や転職に関する情報を収集し、意思決定する上での選択肢の幅を広げるための行動を促す。将来のありたい姿の実現に向けてキャリアビジョンを描く

11.その他

モラトリアム:猶予期間(エリクソン)

リフレーミング:思い込みや固定観念を別の視点から捉え直すことで、新しい見方を得る思考方法指します。

準拠枠:対象を認識する際に使われる判断の枠組みのこと。

アイデンティティ:自分が自分であること、さらにはそうした自分が、他者や社会から認められているという感覚のこと。自我同一性とも呼ばれている。

自己覚知:自分自身の考えや感情、知識や技量などを客観的に理解し、把握しておくことです。自己覚知をすると、自分の感情の変化や反応を予測したり、他者に対する自分の考え方や対応の根拠を自覚したりすることができます。

ロールモデル:一般的に「模範となる人物」のこと。