Q1-3:「インテーク面談」を逐語録で教えて?
A1ー3:お答えします。
インテーク面談を私なりに行っている方法をロールプレイ(逐語録)で説明したいと思います。
「インテーク面談」1を説明します。
インテーク面談
1.カウンセラー の質問は、クライエントの気持ちの流れに添っていくことが必要で、事実や状況についての理解がまだ不十分だと思われたときに、質問して確認するという姿勢が大切である。
私が行っているCLに関わるイメージはクライアントの言葉の波長(リズム)に合わせ、特に気持ちの部分は「はい」「えーえー」「打診・・・」と相槌と促しで、CLが話易いように流れに添って、言葉で繋げる『樋を繋げて流す』感覚です。
以下の事例を参考にどうぞ!
CC1:宇梶様、今日はどのようなご相談で見えられましたか?
CL1:はい、私は今ですね、化学素材メーカーの研究所に勤めてるんですね(はい)、それで取り組んでいる研究も順調に進んでおりましてねえ(はい)、やりがいを持って働けていたんですけれど、...先日ですね(はい)、知的財産部の方へ異動の打診があったんですね(打診...)。えー、私はこれからもずっと研究職の仕事を続けられると思ってたんですけど(えーえー)、戸惑っていましてね(戸惑う...)、えー、私自身は専門の研究者を続けられるところに(はい)、転職した方が良いのか、今の会社に残るべきか(えーえー)...迷ってまして、相談に来ました。
いかがでしょうか?
CC1から優しく丁寧に関わり、CL1の「クライエントの気持ちの流れに添う」気持ちが感じられますでしょうか。「はい」はYES。「えーえー」はもっと続けてください。「打診...」「戸惑う...」CLの気持ちを理解したい気持ちを持って続けてもらう時に使います。
では続けて、ここからがCCにとって非常に重要な「リフレクション(伝え返し)」です。
CC2:宇梶様は化学素材メーカーの研究所にお勤めで、取り組んでおられる研究も順調に進んでおられ、やりがいを持って働かれていたが...先日、知的財産部の方へ異動の打診があったのですね。...ご自身はこれからもずっと研究職の仕事を続けられると思ってたが、戸惑っておらる。...それで、専門の研究者を続けられるところに転職した方が良いのか、今の会社に残るべきか、...迷っておられ、相談に来られたのですね。
これは理想的な伝え返しですが、コツはCLの言った特に「感情の言葉」「大事な事柄」をそのまま返すことで、CLは振り返っています。そして、...「間」や一本調子にならず「抑揚」も大切ですね。
私自身は最近はこのような理想的な伝え返しをやらず(^^♪、CL1からCLにとって大事な事柄や感情を受け止め、次に問いかけています。
「ここから次は何を問うか?」最初の問いかけですね。
続きです。
1.カウンセラー の質問は、クライエントの気持ちの流れに添っていくことが必要で、事実や状況についての理解がまだ不十分だと思われたときに、質問して確認するという姿勢が大切である。
「事実や状況についての理解がまだ不十分だと思われたときに、質問して確認する」するところですね。
CC2:宇梶様は化学素材メーカーの研究所にお勤めで、取り組んでおられる研究も順調に進んでおられ、やりがいを持って働かれていが...先日、知的財産部の方へ異動の打診があったのですね。......ご自身はこれからもずっと研究職の仕事を続けられると思ってたが、戸惑っておらる。......それで、専門の研究者を続けられるところに転職した方が良いのか、今の会社に残るべきか、...迷っておられ、こちらに相談に来られたのですね。
この後、何を問うかですね。
・「もう少し詳しく教えて頂けますか?」とスタンダードに問うのもよいですね。
・「どんなことに迷っておられますか?」
と私ならオープンにシンプルに問います。
それは、どうして?何を迷っているのか?どこから迷いがきているのか?CLの事実や状況の理解の「今ここ」が聴けるのではないかと思うからです。
CCにとってはこのCLの「人となり」「自己概念」「キャリアアンカー」にも繋がると思います。
同時に、CLにとってはCCに問われることで「振り返る」そして「気付きが生まれる」ことに繋がってくると思います。
一番最初の問いかけは大変重要です。今後の展開に大きく影響すると断言できます。
次に「インテーク面談」2を説明します
2.質問は単にカウンセラーが情報を得るためではなく、クライエントが自身の問題を掘り下げるのを援助するために用いられる。また、質問されることでクライエントは、それだけで関心を持たれていると感じることにもなる。
CC2:宇梶様は化学素材メーカーの研究所にお勤めで、取り組んでおられる研究も順調に進んでおられ、やりがいを持って働かれていが...先日、知的財産部の方へ異動の打診があったのですね。......ご自身はこれからもずっと研究職の仕事を続けられると思ってたが、戸惑っておらる。......それで、専門の研究職を続けられるところに転職した方が良いのか、今の会社に残るべきか、...迷っておられ、こちらに相談に来られたのですね。
どんなことに迷っておられますか?
ここからが本題ですね。
CL2:そうですね。一つは知的財産部へ異動すると、これまで築いてきた研究職が続けられなくなると思うんですね。...
CC3:研究職が続けられなくなる...
それはどうしてなのでしょうか?
CL3:知的財産部の仕事そのものは知らないのですが、私たちの研究を進める上でなくてはならない特許情報などを一括管理していますので、おそらく管理的な仕事になってしまうのではないかと思っています。
CC4:そうでしたか。今の研究職から管理的な仕事へ変わるのではないかと...
そのことについて宇梶様はどう思われていますか?
このアンダーラインのところ「そのことについて宇梶様はどう思われていますか?」ですね。
これがクライエント自身が問題を掘り下げる切っ掛けになってくると思います。
いかがでしょうか?
最後に「インテーク面談」3と4と6について説明します。
3.カウンセラーとして、クライエントの話がよく理解できたと思われたときには、自分がどのように理解したかを伝え、逆に良く理解できないときは、もう一度話してくれるように求める、といった形で積極的に応答しつつ傾聴することが大切である。
続けます。
CC4:そうでしたか。今の研究職から管理的な仕事へ変わるのではないかと...
そのことについて宇梶様はどう思われていますか?
CL4:私は大学院で博士号を取り助手を7年続けていましたが、妻と結婚し子供ができ養うのが厳しく、相談したところ上司である教授の紹介もあり、今の会社の研究職に就き9年、誇りを持って続けてきました。それができないなら研究職を続けられるところへ転職した方が良いのではないかと思っています。
CC5:そうでしたか、今の研究職に誇りを持っておられるのですね。...転職についてはどう思われていますか?
CL5:自分なりに当てはありますが、今の住居を変わることも覚悟して考えないといけないんです...。
CC6:覚悟と言いますと?...。
CL6:住居が遠方になることを、妻や家族にどう話そうかと...。
CC7:奥様も含めご家族に相談できていないのですね。(はい、そうなんです)
ここで「インテーク面談」6ですね。
6.カウンセラーはクライエントがキャリアカウンセリングを必要とした理由(目標あるいは問題)をみきわめていくこと。
CC7(続):宇梶さんは...今の研究職を続けるには転職しかない(はい)。当てはあるが遠方に引っ越す必要があり(えー)、...今の幸せな暮らし(はい)を続けられるのか不安で(はい)、奥様にどう話そうか迷って(はい)、...それで今日こちらに相談に来られたのですね。
CL7:はい!そう!そうなんです!
CC7はインテーク面談3の「クライエントの話がよく理解できたと思われたときには、自分がどのように理解したかを伝え、」そして
インテーク面談6の「クライエントがキャリアカウンセリングを必要とした理由(目標あるいは問題)をみきわめていくこと」
ですね。
この考え方は来談者中心療法の「自己一致の姿勢」に繋がると思います。
そして、CC1からCC7のクライエントの関わりを通して、以下の「インテーク面談」4の最も大切な関係構築に繋がると思います。
4.カウンセラーが応答しつつ確認することは、クライエントにとってきちんと聴いてもらっていることをしることになり、カウンセラーへの安心感や信頼感を増すことになる。
宇梶さんの話は転職の話までですが、この後、家族への思いや知的財産部の話へ発展することでしょう。
いかがでしょうか?
インテーク面談でクライエントにカウンセラーがどう関わり何をしなければならないか逐語録から役割を説明しました。
さて、もうすぐCC2級第31回学科・論述試験が始まり、年明け早々面接試験ですね。
頑張ってください!いつも応援しています(^^♪