6.1級キャリアコンサルティング技能士面接試験対策(3)

2024年04月07日 06:36

面接試験についてはひとまずラストになると思います。

6.1級キャリアコンサルティング技能士面接試験対策(3)

今日は事例指導者の役割を理解し、面接試験官から観た受験者の傾向から吟味したいと思います。

(4)事例指導者の役割

事例指導とは、相談者へのよりよい支援と、事例相談者のキャリアコンサルタントとしての成長を目的に、事例相談者の担当する事例を通して指導を行うものです。具体的には、相談者に対する面談過程、事例の見立てや対応の方針、組織への働きかけ、リファーやコンサルテーション、事例相談者に不足する態度、役割意識、知識やスキル等について、気づきを促し情報提供や助言を行うこと。

と1級面接試験の概要に謳っています。

「相談者へのより良い支援」で「アレ!」って思われるかも知れませんが事例相談者(CC)を通した支援になるので相談者のことも理解します。

例えば、2級で面接試験が合格できなかった方に相談に乗る時、どのようなカウンセリングだったのだろうと同時にどのようなクライアントだったか聞くシーンがありますね。そのことを言っていると思います。
なぜ合格できなかったか関係構築しながら、関わりを通して共に成長して行く温かい関わりでカウンセリングしたり、時には役割交代しながら深め、気づいてもらう関わりです。
また、逐語録に整理してもらっていると、ご自分で気づきがあったり、私の添削から気づきが生まれることも多いです。

私は塾生に関わる時のカウンセリングはいつも『合格してさらに活躍してもらいたい(成長を願う)気持ち』が本番で活かせたからだと思っています。
その関わる中で、自分も成長させて頂いている「共に成長」の意味だと思います。

(5)1級実技(面接)試験面接試験官から観た受検者の傾向

<面接試験全体(ロールプレイと口頭試問)について(総評)>

受検者自身が何をしたらいいのかに一所懸命で、「相談者へのより良い支援と、事例相談者のキャリアコンサルタントとしての成長」という事例指導の目的を理解していないと感じるロールプレイが散見されたこと、また傾向として、カウンセリングの知識・スキルについての理解不足、力不足が気になりました。自己紹介や場面構成に必要以上の時間をかけているケースも見受けられました。事例指導においては、事例相談者をよく知り、共に成長していくプロセスが大切です。事例相談者が事例を通して自身の課題に気づけるような関わり方が求められます。

以下はそれぞれの評価ですが、大事なところは総評に語られています。

■ 基本的態度について:事例相談者の成長に関心をもって臨む受検者も多い一方で、受検者自身をよく見せるための表面的な指導に受け取られるようなケースもあった。多くの受検者は「基本的態度」について、ロールプレイで実施されたことと、口頭試問での振り返りに乖離がある(受検者自身の「自己一致」が十分ではない)ケースが散見された。

■ 関係構築について:事例相談者から提示された事例について理解を深めるために積極的に関わろうと努めた受検者もいた一方で、予め示された概要に基づいて課題の予想や解決等の対策を講じることで、練習してきた成果を発表する場になってしまったケースも散見された。目の前にいる事例相談者を蔑ろにしてしまい、準備してきた解釈、解決策の提示によって本質的な課題の理解や事例相談者自身の「気づき」に繋がりにくいと感じられる場面が多かった。
■ 問題把握について
:事例相談者が自身の課題について把握していない(共有できていない)状態で、受検者が得意な分野(理論等)で進めようとする様子が散見された。キャリアコンサルティングプロセスをきちんと理解していない、また質問力が弱いため、問題の本質に迫り切れない受検者が見受けられた。事例相談者の課題に対し、育成的な関わりを意識している受検者は少ない印象だった。受検者の見立てについて、事例相談者の合意無しに指導を進めてしまう、また事例相談者との協同作業の中で明確化することができていない受検者も少なくなかった。
■ 具体的展開について事例相談者とのやりとりから課題を抽出し、目標設定するプロセスについての力不足を感じた。指導で用いた理論や技法が、事例から離れてしまっているケースが多く見受けられた。システムアプローチ、来談者中心療法、コーヒーカップ・モデル等の用語が散見されたが、これらの説明に終始し、また自分の準拠枠、或いは事前に準備してきたシナリオに当てはめ、強制的、 一方的な進行になってしまうケースも少なくなかった。

何が言いたいのか、私の経験から解説したいと思います。

ステップ①:CCがCLにどう関わったのかをSVが傾聴を重ね理解を深めます。

まず、事例指導者(SV)から自己紹介をします。
「初めまして、本日事例指導を担当させて頂きます木原と申します。(松本です)松本さんですね。今日はよろしくお願いします。
松本さんとは初対面ですので簡単に自己紹介をさせて頂いてよろしいでしょうか?」(1分で答えます。)

総評(下から3行目)で「自己紹介が長い」といっているのはこのことです。
以前は守秘義務のことなど言って長くなっていたと思います。
(2級は当初は自己紹介がありましたが、今は無くなりましたね。)
ですから今は自己紹介を簡潔に言わなければいけません。
名前、職業、キャリア、『カウンセリングで大事にしている事』等。
事例相談者にも『何を大事にしているか』自己紹介を求めながら聴いてください。

さて、次に事例相談者(CC)は2年のキャリしかありませんので、ご自分の経験と重ねCCからケース記録を読んで頂く。
そして、CCからどんな面談をしたかカウンセリングを行う。
「今ここ」のリアル感をもって、自己一致の姿勢で関係構築を深め、来談目的のCCのうまく行かなかった問題を共有します。

ステップ②:CCの問題点がどこにあるのかSVが本質的問題を理解し、SVの関わりによってCCが問題に気付く。

このステップが1番の肝だとおもいます。

事例指導者(SV)は事例相談者(CC)が相談者(CL)に対し、どこをどうすれば良かったか順を追って話して頂きます。

狙いはSVからみたCCの問題は何なのか理解するところです。
CCはCLに対するカウンセリングの何が不足していたのか、一緒に考えます。

面接試験の概要「相談者に対する面談過程、事例の見立てや対応の方針、組織への働きかけ、リファーやコ ンサルテーション、事例相談者に不足する態度、役割意識、知識やスキル等について、気づきを促し情報提供や助言を行うこと。」のところですね。

ケース記録を再度見直したり、その場面でどうすれば良かった深めます。
ヒアリングを重ねCLとの関係構築はどうだったのか、目標はどうだったのか、気づきを促すかカウンセリングはできたのか、行動変容の段階まで行ったのか、目標の合意は取れたのか、CLの主訴、CCの見立ては相応しいのかを聴きながら、最終的にはCCの本質的な問題は何かを理解する。

山場はSVが上記の関わりでCCが自分の問題に気づき、行動変容があり、どうしたいか一緒に考え方向性が出せることです。
・SVとCCの間で関係構築が十分深まっており、主訴が共有できていること。
・SVはキャリア理論とカウンセリング理論を活用してCCが理解できるように説明し、行動変容があるかどうかカウンセリング能力が試されます。
・また、指導者として共に成長して行く温かい人間性が試されます。

ステップ③:SVの目標設定にCCとの合意が得られ、方策を一緒に考えクロージングに至る。

ここは、ステップ②があって初めて、SVはCCと今後どのような支援をしていきたいか目標にし、合意を得ることができると思います。
残りは方策を立て、クロージングをします。

ただし、私の経験では方向性の合意から目標設定はできました。
ステップ③では再度目標設定し、ロールプレイで時間が来てしまったら残りの方策は口頭試問で答えましょう。
また、口頭試問はロールプレイでできなかったことも乖離がないよう正直に答えてください。

ざっと面接試験について、進め方のステップから考えてみました。いかがだったでしょうか?

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