改めてマイクロカウンセリングの特徴

2025年07月24日 20:08

今日は「改めてマイクロカウンセリングの特徴」をテーマに振り返ってみたいと思います。

カウンセリング力を高める「番外編」で少し触れましたが、「自己一致」だけでは説明できないことが書かれています。

例えば、
1.傾聴には、「各面接の場面では、その人がどのような世界で生きてきたのか、そして今どのような問題を抱え、その問題をどのように捉え、どのように感じ、どうしたいと思っているのかなどを理解していくためにストーリーを引き出すことが重要」とあります。

2.肯定的資質には、「マイクロカウンセリングの根底にある肯定的な人間観です。マイクロカウンセリングでは、従来のような個人の病理に注目してそれを治療していくという考え方とは異なり、個人の可能性や潜在能力に目を向け、「肯定的資質」を積極的に引き出していく〈かかわり〉が行われます。」とあります。

それでは「Q1-3:「インテーク面談」を逐語録で教えて?」を例にして紐解いてみます。

CC1:宇梶様、今日はどのようなご相談で見えられましたか?

CL1:はい、私は今ですね、化学素材メーカーの研究所に勤めてるんですね(はい)、それで取り組んでいる研究も順調に進んでおりましてねえ(はい)、やりがいを持って働けていたんですけれど、...先日ですね(はい)、知的財産部の方へ異動の打診があったんですね(打診...)。えー、私はこれからもずっと研究職の仕事を続けられると思ってたんですけど(えーえー)、戸惑っていましてね(戸惑う...)、えー、私自身は専門の研究者を続けられるところに(はい)、転職した方が良いのか、今の会社に残るべきか(えーえー)...迷ってまして、相談に来ました。」

では続けて、ここからがCCにとって非常に重要な「リフレクション(伝え返し)」です。

CC2:宇梶様は化学素材メーカーの研究所にお勤めで、取り組んでおられる研究も順調に進んでおられ、やりがいを持って働かれていたが...先日、知的財産部の方へ異動の打診があったのですね。...ご自身はこれからもずっと研究職の仕事を続けられると思ってたが、戸惑っておらる。...それで、専門の研究者を続けられるところに転職した方が良いのか、今の会社に残るべきか、...迷っておられ、相談に来られたのですね。…どんなことに迷っておられますか?

と私ならオープンにシンプルに問います。それは、どうして?何を迷っているのか?どこから迷いがきているのか?CLの事実や状況の理解の「今ここ」が聴けるのではないかと思うからです。

CCにとってはこのCLの「人となり」「自己概念」「キャリアアンカー」「経験」に繋がると思います。
同時に、CLにとってはCCに問われることで「振り返る」そして「気付きが生まれる」ことに繋がってくると思います。

ここからが本題ですね。

CL2:そうですね。一つは知的財産部へ異動すると、これまで築いてきた研究職が続けられなくなると思うんですね。...

CC3:研究職が続けられなくなる...それはどうしてなのでしょうか?

CL3:知的財産部の仕事そのものは知らないのですが、私たちの研究を進める上でなくてはならない特許情報などを一括管理していますので、おそらく管理的な仕事になってしまうのではないかと思っています。

CC4:そうでしたか。今の研究職から管理的な仕事へ変わるのではないかと...そのことについて宇梶様はどう思われていますか?

「そのことについて宇梶様はどう思われていますか?」ですね。これがクライエント自身が問題を掘り下げる切っ掛けになってくると思います

続けます。

CL4:私は大学院で博士号を取り助手を7年続けていましたが、妻と結婚し子供ができ養うのが厳しく、相談したところ上司である教授の紹介もあり、今の会社の研究職に就き9年、誇りを持って続けてきました。それができないなら研究職を続けられるところへ転職した方が良いのではないかと思っています。

CC5:そうでしたか、今の研究職に誇りを持っておられるのですね。...転職についてはどう思われていますか?

CL5:自分なりに当てはありますが、今の住居を変わることも覚悟して考えないといけないんです...。

CC6:覚悟と言いますと?...。

CL6:住居が遠方になることを、妻や家族にどう話そうかと...。

CC7:奥様も含めご家族に相談できていないのですね。(はい、そうなんです)
宇梶様は...今の研究職を続けるには転職しかない(はい)。当てはあるが遠方に引っ越す必要があり(えー)、...今の幸せな暮らし(はい)を続けられるのか不安で(はい)、奥様にどう話そうか迷って(はい)、...それで今日こちらに相談に来られたのですね。

CL7:はい!そう!そうなんです!」

いかがでしょうか?

1.傾聴の「ストーリーを引き出すことが重要」は、十分ではありませんが、CL宇梶様のストーリー引き出していますね!

2.「肯定的資質」を積極的に引き出していく〈かかわり〉」は、CL宇梶様の誇りを大切にし、家族と共に研究職を続けたい思いに寄り添って肯定的資質を大事にしているところから、宇梶様の可能性を引き出していますね。

もし、CCが管理職という安直な方向に舵を切っていたら決してカウンセリングは上手くいかなかったでしょうね。

いかがでしょうか(^^♪