キャリアコンサルタントの展開力について(その1)
ここ広島は桜満開の中で、プロ野球が開幕しました。
さて、これまでクライエント中心療法について書き続けてきましたが、今日は展開力について考えて見たいと思います。
私をこれを話を回す力、または話を進める力を展開力と思っています。
名司会者の話を聞いてみますとどんな話下手な人(ゲスト)でも、上手に相手に話をさせているシーンがあります。
受け止めたり、要約したり、相手の一番話したいことを話の筋に添って話を展開させていますね。
では、ロールプレイではどうするのか逐語録にして追ってみます。
プロフィール:山本武(55歳)、妻(53歳)、二人暮らし。二人の子供は既に自立
大手の電機メーカーに勤務し33年
序盤
CC:こんにちは、キャリアコンサルトのXXと申します。
山本様、今日はどのような相談で見えられましたか?
CL1:私は電機メーカーに勤務してもう33年になるんですね。
で、今55歳ということでね、あと5年で定年退職を迎えるんですよ。
そのことを考えるとね、最近、不安でしょうがなくてですね、
いろいろ相談したいなと思って参りました。
CC1:山本様は、電気メーカーで33年勤務されているのですね。
今55歳であと5年で定年退職をお迎えになるんですね。そんな中、最近不安でしょうがないと。
最近不安とは何かあったのでしょうか、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?
ここまでのシーンを振り返ってみましょう。
出足はとても大事です。CCtはクライエントの気持ちを受け止め、伝え返しています。
この出足をしくじるとガタガタと崩れ信頼関係が築けません。
この先二度と挽回できないと思ってください。
さて、話の筋(来談目的)はどちらでしょうか?
①「あと5年で定年退職を迎える」
②「最近、不安でしょうがなくて」
55歳の年齢を考えると①の定年退職のことでしょう。
しかし、ここで問うべきところは②の最近不安という感情でしょうね。
CC1ではこれを出して展開させていますね。これが展開力です。
いかがでしょうか?
では次のシーンに移りましょう。
CL2: はい。先月会社が主催のライフプランセミナー受けたんですね。
そこで、同期の連中が集まってきたんですよ。
で、まあ久しぶりだったので、10人ぐらいでランチョンミーティングしたんですね。
結構ね、皆さん先々のことを考えてね、もう実際行動に移しているんですよ!
その時、「山本お前これからどうするんだ?」なんて聞かれたときにね、私は全然答えられなくて、
それから不安が募ってきたなぁ、なんて思っています。
CC2:山本様はライフプランセミナーに参加の際、同期の方とお話になって皆さんが先々のことを考えて
行動に移されていると聞いて、同期の方からどうするんだと問われ全然応えられなかった
・・・それで不安が募ってこられたのですね。
同期の方々は、例えばどういうようなことをおっしゃっていたんですか?
ここでもCCtは要約して受け止めていますね。
そして、不安が募ったのは同期の人と比べCLが全然将来のことが語れなかったことでしょうね。
では同期の人は何を言ったのでしょう?CCtはその場のシーンがイメージできるように尋ねていますね。
同期の方々は、例えばどういうようなことをおっしゃっていたんですか?
これがCCtの展開力だと思います。
では次のシーンに移りましょう。
CL3:私と割と仲の良い同期の彼はね、役職定年で彼は一足先に部長職は解かれ、
「これから大学院へ行って経営の勉強したりするんだ」っていうんですよ。
いろいろ聞くとね、中小企業診断士の資格は既にとっていてね。
定年退職後は経営コンサルタントを目指しているっていうんですよ。
CC3:仲の良い同期の方は、既に定年退職後のビジョンが明確になっていらっしゃる。
今は役職定年になって大学院で勉強をやり直したり・・・
それをお聞きになって、どう思われましたか?
ここはよくあるシーンですが、この辺りのCCtは要約が良いし、促しも良いですね。
そして、CLの思いを深く尋ねている展開になっています。
いかがでしょうか?
今日はこの辺にし、次回も展開力についてお話ししたいと思います。