ロジャーズの「伝え返し」
しつこく書いていますが、今日も諸富祥彦著「新しいカウンセリングの技法」より抜粋します。
50代ころの全盛期のロジャーズのカウンセリングにおける応答の8割が「伝え返し」であったといわれています。
「伝え返し」が「ただ相手の言葉を繰り返すだけのオウム返し」と誤解されていることを気にかけ、その誤解を正すためにロジャーズが死の前年に書いた重要な文章です。
つづけます
「セラピストとしての私の見解を言えば、私は〈感情を伝え返そう〉とはしていません。
クライアントの内的世界についての私の理解が正しいかどうか確かめようとしているのです。
クライアントがそれを今体験している通りに私がそれを見ているか、確かめようとしているのです。
私の応答には、次のような無言の問いが含まれています。
〈あなたの中でそれはこんなふうになっていますか〉
〈私は、あなたが今体験している個人的な意味の色合いとか肌合いとか味わいを、ちゃんとキャッチできていますか〉
〈もしそうできていなかったら、私は自分の知覚をあなたのそれに一致させたいのです〉。
その一方、クライアントの側から見れば、私たちはクライアントが現在体験しつつあることの鏡を提供しているわけです。
その鏡に映し出され、別の人の目を通して見られた感情や個人的意味は、よりシャープになっていくようです。
だから私は、〈感情の伝え返し〉ではなく、〈理解の確かめ〉とか〈受け取りのチェック〉という言葉を使うことを提案します。
こういった言葉のほうが、より正確であると思えるからです。
セラピストのトレーニングにも有益です。
〈伝え返そう〉とするのに比べると、相手の内的世界についての自分の理解や受け取りを確かめようとすることのほうが、応答したり質問したりする際の健全な動機となるようにも思います」。(Rogers,1986)
つまり、ロジャーズは「伝え返し」が〈感情の伝え返し〉ではなく、〈理解の確かめ〉とか〈受け取りのチェック〉であること。
その一方、クライアントの側から見れば、現在体験しつつあることの鏡を提供している。
その鏡に映し出され、別の人の目を通して見られた感情や個人的意味は、よりシャープになっていくとのことです。
さて「伝え返し」のまとめです。マイクロ技法では「いいかえ」を中心として「はげまし」「要約」の一部が含まれると言ってもいいのではないでしょうか。
いかがでしょうか?