キャリアカウンセリングとビジネス会話の違い

2020年06月20日 16:30

第15回キャリアコンサルタント試験が11月に延期になり、ロープレからしばらく遠ざかっていませんか?
今日はキャリアカウンセリングとビジネス会話の違いをあらためて考えたいと思います。

皆さんはビジネス会話は問題なくできますよね。
でも、キャリアカウンセリングではなぜ会話がつまってしまうのか?
カウンセリングとビジネス会話の違いについて、一緒に考えてみましょう。

初対面の場面では緊張しますね。
ビジネス会話であれば挨拶、名刺交換から始め目的が明確になっていますのですぐに商談に入ることができますね。
また、合理的な判断が欠かせませんので、感情・気持ちは抜きにして、事柄や裏打ちされた理論に基づく互いの利益を優先します。 

一方、カウンセリングは悩んで迷っている人を前に相談に入るので、緊張感を解くところから始めます。
包み込むような優しい笑顔と声で「今日はどのようなご相談で見えられましたか?」
そして、来談目的の節々まで、特に感情(悩んでいる、迷っている、困っている)をしっかり受け止めます。
つまり、打ち解けることで、なんでも話していただくことで信頼関係を築くこと。
これがキャリアカウンセリングの大きな役割です。

以上のように、キャリアコンサルタントには気持ちや思いに耳を傾ける訓練が必要なのだと思います。

次は「察すること」にキャリアコンサルティングとビジネス会話の大きな違いです。
ビジネス会話は相手が言ってはいない言葉もある程度察しながら話を進めますね。

ところが、キャリアコンサルティングにおいては、相手の言わなかった言葉は「一致」の姿勢で「あなたが言いたいのはこういうことか」一つ一つ丁寧に確認しながら進めます。
察せずに進める理由は心をZERO(または白紙)にして、先入観を持たない(ロジャーズは「純粋性」と言っています。)こと。

ここもビジネス会話や日常会話と違うので訓練で身に付ける必要があると思います。

カウンセリングは来談者中心に進めますので、話す量は来談者が多くなります。
来談者の気持ちを聴くためには、「詳しく教えていただけますか?」「何があったのですか?」抽象的な表現から徐々に進めていきます。
また、細部に入ってくると相談者に話してもらうためには、「はい」「えーえー」「それで」または短い言葉でキーワード「醍醐味・・・」「キラキラ・・・」促しを多く使います。相談者の話が一段落したところで要約して伝えること。

一方ビジネス会話が「クローズな話し方」になるには、曖昧さや抽象的な表現は避ける必要があります。
そのため(一概には言えませんが)お互いの話す量も「フィフティフィフティ」になるのだと思います。

ビジネス会話では商談をまとめるには解決策を議論したり提言し、理論的・合理的に説明し、合意の上で問題の解決(商談成立)に向かいます。
気付きを促すような会話をすることはまずないでしょう。

ここでキャリアカウンセリングについておさらいをしましょう。
キャリアカウンセリングとは「来談者との関係性を築き、問題(主訴と見立て)を深め、気付きを促すことで自ら気付き行動変容がおこること。」ですね。

そのために①で関係性を築き、②③で自己概念やキャリアアンカーを理解し、浅いところから深いところまでの主訴を理解する。
同時にCC視点の来談者の問題を把握(見立て)します。

そして、④話を聴くことで来談者自身が振り返り考えが整理でき、気づきが生まれます。
また、気付きをうながす言葉「どうして主任の打診があったのでしょうか?」「どうして残業が多くなったのでしょうか?」「上司と相談できないのはどうしてでしょうか?」「どうして管理職への辞令がおりたのでしょうか?」等
投げかけによって行動変容が起こることを求められています。
カウンセリングの根底には「アドバイスでは人は動かない自ら気付いて初めて行動が起こる」ことがあるのだと思います。

以上のようにカウンセリングとビジネス会話はかなり違っていますね。
だからこそそのことを意識し「筋トレ(ロールプレイ練習)」によって身に付ける必要があります。

頑張りましょう!応援しています!