カウンセリングにおける積極技法のリフレーミングの活用について

2024年05月11日 16:39

カウンセリングにおける積極技法

今日はマイクロカウンセリング技法-福原眞智子監修より「カウンセリングにおける積極技法」のリフレーミングについて考えます。

 1.積極性技法を積極性の強いものから順に並べると

①指示技法:効果的に CC が CL にどのような行動をとってほしいか指示を与え、
    ↓ 問題解決へ新しい選択肢を提供する。
②論理的帰結法:ある行動をとった場合にどのようなけっかがもたらせるかを予測させ、 他の選択肢をとった場合にはどのような結果になるかを予測させ、いずれの行動をと った方がより良い効果をもたらすかを比較して判断させる方法である。
   ↓
③解釈:リフレーミング。CC から見る新しい枠組みから意見を述べる。
   ↓   
④フィードバック法:事実に基づき、他者が CL をどう見ているかという情報を非審判的態度で本人に伝え、気づかせることである。
   ↓
⑤自己開示:CC 自身の感情や理解したことを積極的に伝える。
   ↓ 行動変容のためのよいモデルとなることもある。

⑥ 情報提供、教示、助言・示唆:CL に CC の考え方や情報を伝える。CL に新しい助 言や新しい情報に目をむけさせることを可能にする。

2.積極技法には共通している3段階の基本パターンがある。

第1は、まず『かかわり行動』や『かかわり技法』を用いて CL にかかわる。
第2は、それぞれの技法の使用は、具体的かつ明確に。
第3は、用いた技法が CL に与えた影響を観察する。うまくいかない場合は、原則として最初に戻る。

3.積極技法は CL のニードを尊重してはじめて有効になる。CC の価値観で押し付けることではない。

4.積極性の弱いものであっても、積極技法の使用には、しっかりとした信頼関係の形成が必須である。

リフレーミングの活用について(2級面接試験)

●相談者:小林新一 61歳 家族:妻(55歳 書道教室主宰)と同居。長女(26歳)は独立して別居。

 四年制大学卒業後、大手消費材メーカーに入社。定年退職後、現在の会社に再就職し、1年半。

相談したいこと:定年退職後は、OBの紹介で健康食品会社へ再就職した。待遇など条件は悪くはないが、仕事の進め方になじめず、モチベーションが下がっている。今までの経験を活かしながら働けるうちは働きたいので、転職した方がいいという思いもある。どう考えればいいのかわからないため、相談したい。

◆序盤:来談目的から主訴(できるだけ忠実に再現)

相談者は海外事業の経験を買われ、海外進出を目指している健康食品会社へ海外事業部長として再就職した。
そこでは、海外事業部を立ち上げるための企画書を作成し、途中社長が相談役に退き、全面的に息子が社長を引き継いだ。
一年をかけ海外事業部の企画書を書き上げ、社内での説明会を重ねた結果、承認が得られたので稟議書(予算措置)にした。
それから、稟議書の承認手続きが進んだが、最後に若社長から承認の印鑑がもらえず3ヶ月が立ち現在に至る。
その間も役員会議で説明会は開いてきたが、社長の承認が得られない状況が続いている。
それが来談目的の「仕事の進め方になじめず、モチベーションが下がっている。今までの経験を活かしながら働けるうちは働きたいので、転職した方がいいという思いもある。どう考えればいいのかわからないため、相談したい。」理由であった。

◆中盤:転職について

私「もし、稟議書が承認されたらどうされますか?」
相談者「勿論、海外事業部を立ち上げたい。前の会社で継続雇用の選択もあったが、チャンスと思い今の会社に再就職した。」
と相談者の「今の海外事業部を立ち上げたい」強い思いを聞くことができた。

◆さて、ここから私が行ったリフレーミングです。

1.環境面 相談者が以前勤めていた会社は大手で稟議書を作成した経験はあったが、海外事業部の立ち上げ計画書を認められるところで苦労し、稟議書の承認までの行程は比較的スムーズであったこと。

2.立場・責任  現在の会社の社長は40代半ばで会社を引き継いだばかりで経験が乏しく、しかもオーナー社長であることは?

3.世代間ギャップ(価値観) 社長だけでなく、会社の役員、事業部長も若くコミュニケーションの取り方は?

4.プライドは? 若社長との間に確執はなかったか?

◆終盤

1.環境面→2.立場→3.世代間ギャップ(価値観)→4.プライドを進め、相談者に振り返って頂く。

私「ここまで、いかがでしょうか?」
相談者「そうですね・・・・・・(少し苦しそう)」
私「何か言い足りないことはなかったでしょうか?」
相談者「そうですね・・・・・・・(振り返えられる)」「前職とは全然違いますね?」
私「前職と全然違うとは?」
相談者「会社の規模、企業文化も違うし・・・私の立場も違う・・・」 
私「それをどう思いますか?」
相談者「今の若社長は正直よく知らないですね」 
私「よく知らない・・・小林さん、心を開く・・・できそうですか?
相談者「・・・できるかな?
私「(社長に)歩み寄ることはできそうですか?」
相談者「こちらから何が問題なのか、真摯に社長に向き合う・・・ですね・・・やってみます!」
以上のような行動変容(意識変容)がありました。

◆クロージング

私「これから社長さんと話す機会を持たれた後に、次回の面談でどうだったかお聞かせ願いますか?」
相談者「わかりました。とにかく社長と話してみます。また、面談をお願いします!」

◆余り

残り数秒でしたが、ライフプランで奥様のことを伺うと「大丈夫です!」でブザーが鳴り終了しました。