「関係性を築く」について

2023年07月22日 10:07
今日はカウンセラーがクライエントと「関係性を築く」ことについて考えてみます。

キャリアカウンセリングにおいては関係構築は最も重要ですね。
それでは、クライエント側からカウンセラーをどう感じているのか。
「この人は私のことを全力で分かろうとしている」
「この人は私のことを全力で支えようとしている」
「この人は何処までも本気で関わってくれる」
「この人は私を認めてくれる」
「この人は親でも先生でもなくこの人は違う」
「この人は私の気持ちに寄り添ってくれ、自分が自分になれる」
「この人は私の気持ちに寄り添ってくれるので、安心して話せる」
「この人と話していると心地よい」
「この人と話すことで、自分で気付く機会が増えた」
「この人と話せなくても、自分で解決できるようになった」

関係構築についてどう書かれているのかご紹介します。

1.関係性はカウンセラー側からいえば、クライエントに対する配慮や興味・関心をもって接することから発生する。

関係性はカウンセラーとクライエントの絆であるが、クライエントを抱え込んだり、カウンセラーとの関係にクライエントを縛り付けるものではないし、そうであってはならない。


2.関係性は双方の相互作用として発展するものであるので、クライエント自身の内面においても、カウンセラーへの興味と関心が芽生えなければならない。

この場合の興味と関心は、個人としてのカウンセラーに向けられるものではなく、「ここで話すと他とは違う」「耳を傾けてもらえる」などの感覚や体験に基づく、カウンセラーの存在やカウンセリングというものに対し起きてくる興味・関心である。


3.「了解」されることは、それだけでそれまでの心理的外傷が多少なりとも癒され、その経験やそれにまつわる自分自身について見直す体験となる。

これは、修正情動体験と呼ばれる心理治療要因でもある。


4.クライエントを「了解」する過程で、クライエントの言うことが一言一句手に取るようにわかり、全く違和感がなく、クライエントを理解することはありえない。

過程に生じる理解のズレや行き違いを感じつつ、それを全面に出してクライエントを追求するのではなく、ズレを包含しながら、理解できるところをたどってクライエントの体験を再構成していくことが、初期において関係構築する際の極めて重要な手段である。

不明点、矛盾、疑問は後に吟味の対象となる。


5.関係性は、クライエントとカウンセラーという個人と個人の間だけでなく、クライエント個人と相談機関との間にも発生する。

関係性とは二者間の関係においてのみではなく、立体的に捉えられるべきものである。


『カウンセリングの技法ー臨床の知を身につける』平木 典子・ 袰岩 秀章北樹出版(2001年)1級キャリアコンサルティング技能士学科試験第7回出題問題より