Q8-1:「共感」について教えて下さい。

2023年12月06日 07:55

A8-1:共感できない時はどうしたらよいのでしょうか?の問いにお答えます
故・河合隼雄著「カウンセリングの実際問題」にこんなことが書かれています。

「われわれ(カウンセラー)の態度として共感したいという態度は持っています。
そして、絶対、本当のというまでは分からなかったとしても、自分のやってきた体験を共通の因子として、それにつながっていこうとしています
共感的理解というのは、その人(CL)のされたことと、私(CC)のしたことがよく似ていて共感できるのでなくて、その人のしたことと、私の体験とは相当違うのだが、あるいは、違うが故に、その違う体験を共通に感じ合おうとしてこそ、二人は深い理解に至る

さらに続きます。

「家出をしたいという子どもの、家出をしたい気持ちがそのままわかるのでなく、もっと自分の体験を底の方へ深めていこうとすると、共通の因子として『自立』というものがでてくる。自立の意志は誰にでもある。そのところで子どもと接することができる。そういうのがむしろ共感的理解といってよい」

さて、キャリアコンサルタント面接試験においてはどうでしょうか?
15分のロープレで「共感」できないと右往左往されますか?
例えばロープレの序盤、
「退職後のことを考えると不安なお気持ちで夜も眠れないのですね」
「もう少し詳しく教えていただけますか?」

ここで、「退職の体験」です。
「自分に体験はないが学生時代に感じた『将来に漠然とした不安』だろうか」
「自分に体験はあるが結局新しいことにチャレンジできた『選択肢が見つかる前の不安』だろうか」
どちらも自分の体験を通して共通の因子を感じています。
その時CLの体験を自分の共通の因子を頭に置いて「伝え返し」し確かめます。

「仕事一筋に経理部長を33年もやってこられたのですね」
「ご自分を振り返ってどう思われますか?」
確認しているうちに
「趣味もなく仕事一筋に働いてきた経理部長の席がなくなることへの喪失感」
が主訴だということに気づいてきます。

キャリアコンサルタント面接試験では「共感」しているかではなく「共感的理解」を試み理解が深まっているか
が問われているのではないでしょうか。
ロジャーズが「共感」ではなく、「共感的理解」と言った意味がわかります。

いかがでしょうか?