Q3ー8:CC2級第30回論述試験問題結果の「傾向」の意味を教えてください。

2023年12月09日 08:29

A3ー8:お答えします。

今日は前回の第30回論述試験の傾向で指摘された問題点を私になりに振り返ってみたいと思います。

■「相談者がこの面談で相談したい『問題』は何か」について

①相談者の発言を転記するだけに留まり、要点をまとめた書き方ができていないものがいくつか見られました。

②また問1と問2の内容を混同した解答があったことも気になりました。

③相談者が訴えたこととキャリアコンサルタントの見立てについて整理できていることが、相談場面においては重要であると考えます。

〈上記の振り返り〉
①ここは逐語録記録よりCLが言ったことのなかで、特に「感情」その他、CLの言葉に「この人ならではの言葉」を拾う。
②CCの言った言葉は混同しないように参考する程度で無視する。
③見立てる時は逐語記録を読みながらCLの言った言葉の右の余白に『自己』(自己理解不足)『仕事』(仕事理解不足)等と記入することで混同を避ける。

■「キャリアコンサルタントとしてあなたが考える、相談者の『問題』は何か」について

①問題の背景にある相談者の就職活動に対する不安について触れた解答は少なかった印象です。

相談者に「わかってもらえた」と実感してもらうことは関係構築では重要な要素であり、その後の変化に影響を及ぼすことはご存じの通りですが、試験においても実際の相談場面と同様に相談者の真の問題を捉えていたたきたいと思います。
②「自己理解不足」「仕事理解不足」「コミュニケーション不足」といった一般的な転職支援にもあてはまるような解答や、なぜそれらが不足しているのかという根拠が 事例とずれていると感じられる解答が、これまでと同様に多かったことはとても残念でした。

③それらは今回のケースにもあてはまる部分はあるかもしれませんが、新卒者の就職活動特有の問題をイメージできていないと思われる解答は気になりました。

〈上記の振り返り〉
①〝相談者の背景にある問題〝〝実際の相談場面と同様〝とは文章を読みながら面談をするようにこの大学3年生の7月という相談者の置かれた『今ここ』を考えることを言っており、論述問題と言うより『リアル感』を持って考えCLが「Yes」と言ってもらえるかが必要だと思います。
②見立ては「問2キャリアコンサルタントとしてあなたが考える、相談者の「問題」は何かを記述せよ。」ですから国キャリのように「根拠」「問題点」を示せば良いだけではありませんね。CCとしてあなたの考え方を元に「根拠」を示し、「内容を説明」し、「問題点は何か」を指摘することだと思います。
③「新卒者の就職活動特有の問題」ですから(一般的に)(1)就職活動の経験がないこと(2)働いた経験がないこと(3)将来のなりたい姿は個々にばらつきがあること。等の発達的視点が必要となると思います。

■ 目標と具体的な方策について

①相談者が学生の場合に陥りやすいことかもしれませんが、「指導する、教えてあげる」というような評価的な視点とも感じられる発言が散見されたことが気になりました。

②方策について、この相談者に合致しないと感じられる理論の引用やアセスメントの 活用に関する解答も多く見受けられました。キャリアコンサルタントは知識を身につけることも大切ですが、それは相談者を支援するためのものであることを忘れてはならないと思います。この相談者にとって、設定した目標やその方策はどのよう な効果を期待できるのか、という視点も必要ではないでしょうか。

③今期のケースでいうところの就職活動という、登ったことのない大きな山を目の前 にした相談者に対し、ジョブタグ、キャリアインサイト、VPI 等を薦めることは方策としては考えられることではありますが、ツールありきになってはいないでしょか。先ずは相談者が今どのような状況にあるのかを検討した上でその時の状態や変化に合わせた具体策を考えると、より相談者の役に立つと考えます。

〈上記の振り返り〉

① 目標でも方策でも「指導する、教えてあげる」の言葉は絶対に使いません。
・目標で使う言葉としては主語が相談者ですから「不安を解消し」「明確にし」「自律的に行動できるようになること」。また、大学3年生ですから「活動を通し成長する」「就職後のありたい姿」もいいですね。

②方策の考え方は、相談者を目の前にしてカウンセリングをするように展開します。
・CCの意図としては「関係構築を深める」「ラポールを形成する」「不安を解消し、冷静さを取り戻して頂く」「一緒に整理し」「ヒアリングを行い」「インタビューし」「自己理解を深める」etc
・後半でやっと「提案する」「相談するよう促す」「行動変容を促す」etc

③また、ツールありきにならないよう②にプラス、「必要に応じ」と前置きし、「VPI職業興味検査」「GATB」の活用、「学生用ジョブ・カード」、仕事理解等には「job tag」を紹介する。

■その他

①文章が冗長的で何を伝えたいのか理解しづらい解答が散見されたことが気になりました。特徴としてはどのケースにも当てはまりそうな一般的な用語を何とか当てはめようと苦労したあとが見られ、結果、今回の学生の事例から離れてしまっているようにも感じられました。

②また「傾聴」「価値観」「情報収集」などの用語で、キャリアコンサルタントであれば間違えてほしくない漢字の誤りが多いことも気になりました。相談において面談記録を適切に残すこともキャリアコンサルタントの重要な役割の一つと考えますので、その力もつけていただきたいと思います。

〈上記の振り返り〉

①転職やセカンドキャリアといった社会人の問題とは違い、学生特有の問題として「将来のなりたい姿」が見えず、「職業観」浅く「就職活動」に実感がないことを念頭に、CLの「努力している点」「気づいていないが光もの」に着目することが特に必要だと思います。

②誤字脱字は間違いなく減点されますので、制限時間の5分前に見直すだけでかなり防げると思います。

以上ですが、いかがでしたでしょうか?

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