CDA2次試験「自己一致」について

2015年05月25日 06:40

自己一致について、なかなか難しいですね。
ここ数週間考え以下のように整理してみました。

これについては河合隼雄著「カウンセリングの実際」から紹介します。

「たとえば、私が今日は五時からCLと会うのはつらい、疲れているからやめたいと思っている。すると、CLが来たときに、「今日はあなたに会いたくない」と言うのが『自己一致』だという人があります。(略)そういう単純なことを言っているのではなく、自分の心のなかに動いていることはすべて、これを取り上げようというのが『自己一致』ということだと思います」

つづきます。

「そうすると、五時にCLが来たときに、疲れているから会いたくないという気持ちと、せっかく約束しているのだから合わねばならないという気持ちもあるはずです。(略)本心は「会いたくない」というのと、「会わねばならない」という両方があるわけです。(略)その相反するふたつのものが高まって、ふたつの音がそのままひとつのハーモニーにとけこんでいるというような態度ができれば、『自己一致』だと思います」

いかがでしょうか?
後半ちょっとわかりずらいですが、CLの矛盾した2つの本心をあるがままに受け止める態度を言っているのでしょう。

次に「自己一致」について私の失敗例から考えてみたいと思います。
CDA2次試験でのことです。

《設定》中川(女性)58歳 公務員 図書館勤務、主人、長女、義母の4人家族

CDA)今日はどんなご相談で見えられたのですか?
CL1)はい、実は今の仕事を辞めようかどうしようか迷っています。
CDA1)今の仕事を辞めようか迷っていらっしゃる?もう少し詳しく教えて頂けますか?
CL2)えー、今図書館に勤めていて早出や遅出や土曜日も出ないといけない中で、義理の母のことで、このまま続けられそうにないなぁーと
CDA2)今、図書館に勤めていらっしゃって、早く出る日や遅く帰る日があり、土曜日も出ないといけない、不規則なのですね。(えー)それで義母様とは今同居されている・・・
CL3)えーそれが脳溢血で倒れて入院をしていて・・(いつ)1ヶ月前です。それで右半身の麻痺が残ってしまって、リハビリに入らなければなりません。
CDA3)義理のお母さんが1ヶ月前に脳溢血で倒れられて右半身に麻痺が残って、リハビリや介護が必要なんですね。(えー)それで退職して介護しなければと。

CL4)えー、残り2年で定年なんです。(何か求めていらっしゃる顔)
CDA4)そうでしたか。定年前に退職しようかと。(えー)
   ご主人とは共働きなんですか(えー)
   ご主人はどう思われているのか教えてもらえますか?

CLの来談目的は「今の仕事を辞めようかどうしようか迷っています」です。
ところがCDA3で「退職して介護しなければと」と決めつけています。
CL4の「えー」を「Yes」と思い込んだのが原因ですが、よく考えると
CLは「介護しなければならない」と思う一方「仕事をつづけたい」気持ちがあったと思います。
だからこそ悩んで相談に来ているのだと思います。
CLの「本心」を見抜けぬままCDAは「自己一致」に至っていないダメな例ですね。

では、どういう態度で臨めばよかったか「自己一致」を諸富祥彦氏は「ほんものの傾聴を学ぶ」でこう言っています。

「カウンセラーがCLの話に虚心(先入観を持たないで素直な心でいること)に耳を傾けながらも、同時に、自分自身の内側にも深く、やさしく、ていねいに、ふれながら、ふれながらしつつ、CLとともに進んでいく姿勢を保つことができていれば、CLのほうも安心して自分の内側にふれて、そのなかに深く入っていくことができます」

いかがですか?
抽象的な表現ですが感じは掴めますね。